INTRODUCTION
未だに止むこと無く世界の美術界を疾走する草間を、1年半もの間追い続けた渾身のドキュメンタリー映画。「生」と「死」と「愛」のせめぎ合いの中から湧きあがる草間芸術の真髄を、カメラは時には静かに、時には饒舌に記録し続ける。それだけに観る者を、有無をいわさず一瞬にして未知なる世界に引きずり込み、魂を激しく揺さぶる。
映画は、F100号のモノクロ作品シリーズ「愛はとこしえ」50作が完成するその貴重な瞬間に密着する。真っ白なキャンバスから作品完成までを、定点カメラで捉えた映像は観る者を圧倒し続ける。まさしく世界中の草間ファンが注目し待ち望んだ、草間芸術の生まれでる瞬間に、私たちは立ち会い、そして目撃する。
今まで観ることの叶わなかった、草間の創作活動と日常。自らを天才と自負する揺るぎ無き自信、作品に挑むときの凛とした精神の高み、日常の佇まいに見え隠れする人間味あふれる表情と仕草など、映像の一つひとつが解き明かす草間ワールドは、永遠に見続けていても決して飽きることがない。
A MESSAGE FROM YAYOI KUSAMA
わたしは自分の芸術や求道についての映画をみて、心の底から涙に泣きぬれていた。
その他の人々も一緒に泣いてくれた。
なんという感激の芸術の道程。
あんなに自分自身を失望のどん底においた長かりし私の来しかた。
もっともっと天をもこがす私。
命の伝記的映画。
思い入れをこめた伝記的映像を秘めたフィルムをみて私は何日も眠れぬ夜中をすごした。
そして考えた。
私はずっと深く、そして高く自分の人生をいっそう立ち上げたい。
その志を皆とわけあいたい。
時の過ぎゆく日々を心のすべてをなげ出して、百号の画布にかき続けた。
その数50枚の「作品群」。
私はこの作品群に「愛はとこしえ」というシリーズのタイトルをつけた。
あまりに肉体的にも精神的にも最大の苦労をになって作られた。
私の足跡を記録してそれを映画にして下さった映像スタッフの方々に感謝で一杯である。
永久にこの映画は人々に感動を与えつづけるだろう。
みなさん、私と一緒にすばらしい人生を発見しつつ足音も高く生と死を携えて人の世の美しさに身を埋めたい。
人の世はすばらしい。
芸術もものすごく感動にみちている。
永遠に輝いた人生を高らかに歌い上げよう。
いつも、いつも、“わたし大好き”。
YAYOI KUSAMA
草間彌生(1929-2026)
前衛芸術家、小説家。 1929年長野県松本市生まれ。幼少期から幻視・幻聴を体験し、網目模様や水玉をモチーフにした絵画を制作し始める。 1957年に渡米、ネット・ペインティング、ソフト・スカルプチュア、鏡や電飾を使ったインスタレーションやハプニングなど多様な展開を見せ、前衛芸術家としての地位を確立。単一モチーフの強迫的な反復と増殖による自己消滅という芸術哲学を見出す。 1973年帰国。新たに詩や小説の執筆にも取り組む。野外彫刻、大型インスタレーション、「インフィニティ・ミラー・ルーム」シリーズを制作。 2016年には文化勲章を受章。テート・モダン、ポンピドゥー・センター、M+をはじめとした世界各地の美術館で大規模な展覧会を開催。
DIRECTOR
監督松本貴子
「第6回ぴあフィルムフェスティバル」入選をきっかけに映像の世界へ。日本初のファッションレギュラー番組「ファッション通信」の立ち上げに参加、ディレクターを務める。1995年に前衛芸術家・草間彌生と出会い、多数の作品を制作する。監督作品「氷の花火 山口小夜子」(2015年) 、「掘る女 縄文人の落とし物」(2022年)「バレンと小刀 時代をつなぐ浮世絵物語」(2025年)
CREDIT
出演
草間彌生
スタッフ
監督:松本貴子
撮影:馬場宏子
編集:藤井康之  
スチール:川崎陽子
音楽:栗コーダーカルテット
協力:草間彌生スタジオ
プロデューサー:井瀧誠司/清水貴史
製作総指揮:榎本寛治
著作権者・配給
ぴけプロダクション
2008年/カラー/102分/DCP
© Pike Production inc. © YAYOI KUSAMA
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